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思いついた妄想をつらつらと・・・
2025
05,29

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2007
03,09

 旦那が今まで屯所を訪れた回数は一度や二度ではない。副長に会いにきたり、姐さんに殺されかけた近藤さんを届けにきたりと目的は様々だ。前者の場合は長時間滞在するが、後者の場合茶を出すと言っても大体すぐに帰ってしまう。なぜ、“大体”かと言えば副長がいるときは決まって長居するからだ。
 今回旦那は近藤さんを運んできたが、副長がいたので随分長くいる。
 副長は隠しているつもりらしい二人の関係から考えると、今この時間ナニをいたしているかもしれない・・・という恐れはなく、客用の部屋からぎゃあぎゃあと騒ぐ声が絶えない。そのうるささに隊士の多くは辟易しているようだ。

「おい、山崎」
「なんですか?沖田隊長」
「アイツを斬ってくらァ」

 沖田隊長が刀を抜きながら向かおうとした先は、副長と旦那のいる部屋だった。

「ちょっと沖田隊長ォォ!!?」
「止めるな、山崎。あいつら静かにさせねーと俺の腹の虫が治まらねェ」

 危険を察知した何人かの隊員と協力して沖田隊長の体を押さえていると、一部屋の襖が開く。


「いい加減ゴリラに首輪つけとけよ、連れてくるこっちの身にもなれってんだ」
「テメェのとこのメスゴリラも鎖で繋いでおけよ、毎回殴られる近藤さんの身にもなってみろ」

 沖田隊長は俺達がいるのと反対側に進んでいく二人を見て、いきなり前に引っ張る力を緩める。後ろでばたっと音がしたので何人かの隊士は倒れてしまったようだった。
 二人の言い争う声は、多分旦那が屯所の門をくぐり外に出るまで続いたと思われる。
 帰ってきた副長は疲れたように局長が眠る部屋に入っていった。
 実は二人が見えなくなったあと、斬りにいく理由を無くした沖田隊長は自室に戻っていったので、今この広間は平和そのものだ。
 少し経って、局長のいつもの豪快な笑い声が響いた。


――今日も江戸は平和です

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