2007 |
01,11 |
事の始まりは、いつものように水の中に吸い込まれた後だった。
通常はギュンターとコンラッドだけが迎えに来るはずが、そのときは珍しくヴォルフラムもついて来ていた。
吸い込まれたとき、これまたいつものように風呂に入っていた有利は、当然の如く全裸で。3人が来るまで少しの間、風呂から噴水への急激な温度変化に耐えていた。
駆け寄ってきたギュンターは、普段よりも涙を湛えながら普段よりも約2割り増しの美辞麗句を連ね、コンラッドは苦笑しながらその様子を、大きなタオルを持ちながら傍観していた。
あともう一人、そうフォンビーレフェルト卿ヴォルフラムである。彼はいつもなら、前回の消え方や今ギュンターに抱き疲れていることなどを、ギャーギャーと責めてくるのだが、なぜか今回はギュンターに抱きつかれる有利をじっと見たまま動かない。
有利がギュンターの飽きるまで抱きつかれ、やっと離してもらうと、すぐに仕事の話になった。
「来たばかりでお疲れの陛下のお手を煩わせるのは心苦しいのですが、不在の間に溜まった書類が五万とありまして・・・」
「あー、わかってるよ!じゃ、さっさと行こう!」
毎度毎度のことで、この先のことが理解できていた有利は、コンラッドに小さなタオルで髪をゴシゴシされ、ギュンターに大きなタオルを巻きつけられながらも、噴水から一歩踏み出した。
そのとき、ヴォルフラムが初めて口を開いた。
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