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memo

思いついた妄想をつらつらと・・・
2025
05,31

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2007
01,11

 事の始まりは、いつものように水の中に吸い込まれた後だった。
 通常はギュンターとコンラッドだけが迎えに来るはずが、そのときは珍しくヴォルフラムもついて来ていた。
 吸い込まれたとき、これまたいつものように風呂に入っていた有利は、当然の如く全裸で。3人が来るまで少しの間、風呂から噴水への急激な温度変化に耐えていた。
 駆け寄ってきたギュンターは、普段よりも涙を湛えながら普段よりも約2割り増しの美辞麗句を連ね、コンラッドは苦笑しながらその様子を、大きなタオルを持ちながら傍観していた。
 あともう一人、そうフォンビーレフェルト卿ヴォルフラムである。彼はいつもなら、前回の消え方や今ギュンターに抱き疲れていることなどを、ギャーギャーと責めてくるのだが、なぜか今回はギュンターに抱きつかれる有利をじっと見たまま動かない。
 有利がギュンターの飽きるまで抱きつかれ、やっと離してもらうと、すぐに仕事の話になった。

「来たばかりでお疲れの陛下のお手を煩わせるのは心苦しいのですが、不在の間に溜まった書類が五万とありまして・・・」
「あー、わかってるよ!じゃ、さっさと行こう!」

 毎度毎度のことで、この先のことが理解できていた有利は、コンラッドに小さなタオルで髪をゴシゴシされ、ギュンターに大きなタオルを巻きつけられながらも、噴水から一歩踏み出した。
 そのとき、ヴォルフラムが初めて口を開いた。

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2006
12,28


「っ・・・で・・・でるっ・・・」



 ハアハアと息を切らす土方さんは、俺の横に倒れこむ。恨めしそうな目で見てくるから、今日は何回シたのかな、と頭の中で考えてみた。

「何回しやしたかねィ・・・ま、気持ちよかったからいいじゃないですかィ」
「よくねーよ!!」

 土方さんはツッコみながら思い切り起き上がって、腰を押さえた。痛いに決まってるよ、心の中で思う。
 未だに恨めしそうに彼は見ているから、大袈裟にため息をついてみた。


「大体土方さんは細かいんでさァ。女々しいったらないですぜ」

 土方さんは口をあけ何か言おうとしたけど、諦めたように反対側を向いた。
 俺は土方さんの背中を見ながら、布団を引き寄せる。

「文句はもう終わりですかィ」
「あーそうだよ、お前に付き合ってたらキリがねぇからな」

 フン、と鼻を鳴らす。もう関わるな、と背中が語っている。
 普段なら俺はここで自室に戻る。それが暗黙の了解だったけれど、今日はなんとなく帰りたくなくて、布団をもっと引っ張りあげた。

「今日はここで寝まさァ」
「・・・まぁいいけどよ、さっさと寝ろよ」

 珍しく土方さんは優しい。きっと眠さと、少しブランクがあったせいだ。

「俺ァね、出すときが一番好きでさァ」
「はぁあ?・・・てめー何言ってンだよ、斬るぞ」

 フフフと俺は笑った。

「土方さんも好きでしょうに」
「・・・うっせーな、好きだよ、当たり前だろ男だからな」

 投げやりに言うその背中はもう眠たいと言っている。
 世の中はしんと静まり返っていて、全てが寝ている時間なんだから、この人が眠くなるのも仕方のないことだ。だって彼は、この屯所にいる誰よりも規則正しい生活を送っている。

「いやいや、俺の好きはただの好きじゃないですぜ」
「ぁあ?そうだよなぁ、お前アブノーマルだからな・・・」

 またため息をついて、フッと息を吸った。その後すぐに、スースーと寝息が聞こえてきた。
 あんまりにも静かで、心臓の音まで聞こえてきそうだ。

「そうじゃあなくてねェ」


土方さんの中で出すから、好きなんでさァ
2006
12,18

 なにかに呼ばれている気がして目を開けると、ぼんやりと見える影があった。その影は、しきりに俺の名前を呼んで時には罵声を浴びせる。
 早く起きやがれ、と怒鳴られたから、体は起きてねェが頭は起きてんだよ、と言うと、そう言う奴に限って八割方寝てるんだよォオ!!と叫びながら踏み潰された。
 漸く、これは起きなきゃいけないなと命の危険さに気付いて、足の攻撃が止んだところでムクリと起き上がった。途端に襲ってきた頭痛に頭を抱え込むと、二日酔いかざまぁねぇなと鼻で笑われた。悔しかったから跳び蹴りくらい食らわしたかったが、足元がフラフラして覚束ない。これはまずい、してしまえばまた記憶を失いかねない、と衝動をグッと堪える。
 堪えた様子がもろに分かったらしく、視界の端っこで再び口角を持ち上げるのがはっきり分かった。そんなところはアイツの悪い癖で、向こうにはその気はないにしろ、どうにもバカにされている気がしていけない、口の中で、もごもご言いながら後を付いて茶の間へ行った。

 襖を越えるとそこはまるで別世界で、先までむさい空気が流れていたのにテーブルの上にあるものが存在するだけで、こんなにも雰囲気が変わるのかと驚嘆したくらいだ。それは湯気を立てて、我が物顔でテーブルのど真ん中に置かれていた。
 置かれた料理はどうしたのか聞こうと思って周りを見渡すが、全く姿が見えない。おーい、と呼んでみると、その影はやっと台所から出てきた。
 手にはほかほかのご飯が盛られた茶碗が乗せられている。それをテーブルの上へ置き、依頼者用のソファに座ると、そら座れ、と俺を正面のソファに促した。
 大人しく座ってみれば、二日酔いで胃はムカムカしているはずなのに、それはとてもおいしそうに見えて、早速手を伸ばす。が、料理が一人分しかないことに気がついて中途半端な位置で手を止めた。どうした、と聞かれたから、お前の分がない、と言った。そうするとケタケタと笑って、オレの分はいらねぇんだよ、と言った。
 全く理解できないが、躊躇していると目をギラギラさせながら刀の柄に手をかけている様子がチラリと見えて、俺はやっと手をつけた。料理は旨かった。さすが独身男は違うと褒めようと思ったが(いや、嫌味かもしれないが)屯所に下女がいないわけがないから、滑稽な文句になりそうで言うのをやめた。
 あいつと言えば、刀からは手を離し、膝に頬杖を付いてこちらを見ているばかりだ。旨いか、とも問わないし、帰るとも言わない。俺が完全に食べきるまで、まるで人形のようにずっとこちらを見ていた。
 しかし食べ終わると知るとなかなか動作は早いもので、食器を台所へ持って行き、音からしてどうやら流しに置いたようだった。そしてすぐに戻ってきたが、手にはパフェが握られている。あまりにも見事な出来栄えだったから、これはおめェが作ったのか、と尋ねると、余計なことは言わずに食えとテーブルに置かれたパフェを前へ押し出した。
 一番下はコーンフレークで多少量を誤魔化し、その上にはチョコソースがたっぷりかかっている。チョコにバニラにストロベリーのアイスがグラスの中所狭しとひしめき合っていて、生クリームとバナナ、それに苺が乗せられ、再びチョコソースが登場している。ご丁寧にポッキーまで差されたそれはでにぃずのパフェに勝るとも劣らない、立派なものだった。
 あまりの感動で食べることを忘れ、じっと見ていたら、食わねぇのか、と俺の気持ちとは正反対のトーンで言われて、はいはい食いますよとおざなりな返事をした。
 予想通りパフェの味は絶品だった。俺はあっという間に食べ尽くしてしまい、最後にグラスを舐め取るという人に見せれば必ず嫌われる離れ業をやってのけると、フッと笑う音が聞こえた。グラスの奥を覗くと、またいつもの仏頂面に戻っていた。
 今日はやけに甲斐甲斐しく動くようで、あいつは勝手にグラスを片付けた。また流しに置く音がしたと思うと、すぐに戻ってきた。
 今度は手に何も持っておらず、ただぽつりと一言漏らす。もう寝ろよ、静かに言われて、ついさっきまで寝ていたはずで豪華な食事を摂ったばかりだって言うのに、ああもう寝なければと思った。思ったと同時に睡魔が襲ってきて、フラフラと前へ進むが歩幅が狭くて、どうしても布団へ辿り着けない。途中で膝が折れるのを感じて、俺の意識は途切れた。

 ぱっと目が醒めたのは、まだ夜が明けきらないうちだった。窓から見た空は真っ暗で、ネオンはぽつぽつと点いているだけだったから、朝になりかけの夜だと思った。
 ところで、乱暴に起こされ豪華な食事を摂った事は、目が醒めてみれば、それが夢だったのか、はたまた現実だったのか、てんで分からない。


---後日、新聞に真選組壊滅という記事が出た。その記事を見て、思う。あれは現実だったのだろう。
 よく考えてみれば、普段の自分のマヨネーズ好きをウザいくらい押し付けてくるのに、あの日は全くかかっていなかった。吸っていない事がない煙草も、あの日はただ胸ポケットに納められているだけだった。
 この世の全てから離れていくことに対しての、自分なりのけじめだったのかもしれねェなァと、ぼんやり考える。そうすると、俺と別れることは最後の最後まで捨て切れなかったんだという事に気付いて笑った。
 もう会えないのは悲しかったが、不思議と零れてくるのは笑顔だけだった。




初銀土。

2006
10,09

«寒いね»

 カカシさん、カカシさん

 そう呼んだのは誰だったか、遠い昔のような気がしてならない。

 今日は寒いですね
 ええ、もう冬ですね

 些細な会話すら、覚えているのに
 ああそうだ、思い出した

----彼は遠くへ行ったのだ







「ッ、イルカせんせっ」

 飛び起きて叫んだ
 俺は何を見てたんだ!あれは遠い昔なんかじゃない、あの人は遠くへも行っていない!
 
現に彼は今、

「うるさいですよ、カカシさん」

 俺の名前を呼んだじゃないか

2006
09,18

 なにが原因かはハッキリとは分からない、けれどあなたは一年持つか分かりません

 別にその言葉に驚きはしなかった。
 忍びだし、一応死の覚悟って言うのは人よりは強く抱いていたはずだから。
 けれど、今一番に考えてしまうのは、自分の死というものよりも、



 いつもと同じ朝。今日はアカデミーはお休みだ。
 目覚めれば隣には温かな人、“そういえば今日は子供たちの修行って言ってたっけ”と思い出してから、そっと布団を抜け出した。
 隣に誰かがいてくれるなら、おれはその人のためになにかをしてあげたい。例えば今は朝ごはんだ。銀髪の彼は、強いが故に得られないものも多い。栄養バランスの整ったご飯とか。まあそんなのだけでなく、もちろん彼はいろんなものを得られず、失い、そして同じくらい得てきたはずだが。
 今日のご飯は何にしよう、あまり悩む時間もないのに、冷蔵庫とにらめっこした。
 そのとき、ふいに思い出す言葉。

あなたは一年持つか分かりません

 急に胸が痛くなって、病院に駆け込んだのは二ヶ月前。
 一年持つか分からないと、そう宣告されて、二ヶ月が経った。
 幸い、カカシさんはこのことを知らない。
 知られたら、全くどうなるか分かったもんじゃない。
 自惚れかも知れないけれど、おれがいなくなったら、彼はきっと、・・・なんて、それはおれの願望か。子供みたいにわんわん泣く、何も手につかなくなる、ずっとおれを忘れない、なーんて。
 本当を言えば、彼はなにも表には出さないんじゃないかと思う。いつもニコニコして優しい彼だって、一流の忍びだ。感情を表に出しすぎることの危険さなど、考える間もなく身に染みているだろうから。
 一日に何度も何度も、死の事実を思い出すのは、死に怯えているからではない。ただ、それだけが心配だからだ。
 畳の上で死ぬのが不可能に近い忍びが、今畳に一番近く存在できている。しかも、一日一日を大切に生きようと感じさせてくれるリミットつき。強がりかもしれないが、それなりに感謝している。
 けれど、カカシさんを一人置いていくことに不安を覚えている。
 だって、おれは心底カカシさんを好きだから。他の誰かと抱き合って、いつかは幸せな家庭を築いて・・・ようはおれのいない世界で生きていくカカシさんを、知りたくない。

「おはようございます」

 おれは、ずっと冷蔵庫とにらめっこしていたらしい。
 現実に引き戻されるその声に目覚めて時計を見てみれば、ゆうに30分は経っていた。
 しまった、朝ごはん全然できてない。

「おはようございます、あの」
「あ、朝ごはんですか?」
「すみません!なんかボーッとしちゃって」

 急いで作りますから、そう言うとカカシさんは笑った。

「今日は二人で作りましょ~」
「え?でも修行は・・・?」
「修行?・・・あぁ、あれは午後からなんで大丈夫です」

 おれが覗いた後も開けたままの冷蔵庫の中を、今度はカカシ先生が見る。
 サラダがつくれそうですね、カカシさんはいちいち振り向いて、おれに笑いかけた。



あなたは一年持つか分かりません

 
おれのいない世界を謳歌するカカシ先生がいやだったけれど、もういいです、それでも。
 おれのあと一年、いや、そんなにない命が、こうして笑顔を生み出せ、その笑顔がずっと続くのなら、おれは今頑張ります。
 カカシさんがずっと笑顔でいられるように、カカシさんがずっと、幸せであるように。

 明日はちゃんと起きて、カカシさんのために朝ごはんを作ろう
 明後日は夕飯を奮発して、秋刀魚と茄子で、染め上げよう
 そのあとは・・・そのあとは・・・
 ・・・そうして旅立つ前日には、おれはあなたの幸せを一生懸命祈ります。
 そしてありがとう、と

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