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memo

思いついた妄想をつらつらと・・・
2025
05,29

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2006
10,09

«寒いね»

 カカシさん、カカシさん

 そう呼んだのは誰だったか、遠い昔のような気がしてならない。

 今日は寒いですね
 ええ、もう冬ですね

 些細な会話すら、覚えているのに
 ああそうだ、思い出した

----彼は遠くへ行ったのだ







「ッ、イルカせんせっ」

 飛び起きて叫んだ
 俺は何を見てたんだ!あれは遠い昔なんかじゃない、あの人は遠くへも行っていない!
 
現に彼は今、

「うるさいですよ、カカシさん」

 俺の名前を呼んだじゃないか

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2006
09,18

 なにが原因かはハッキリとは分からない、けれどあなたは一年持つか分かりません

 別にその言葉に驚きはしなかった。
 忍びだし、一応死の覚悟って言うのは人よりは強く抱いていたはずだから。
 けれど、今一番に考えてしまうのは、自分の死というものよりも、



 いつもと同じ朝。今日はアカデミーはお休みだ。
 目覚めれば隣には温かな人、“そういえば今日は子供たちの修行って言ってたっけ”と思い出してから、そっと布団を抜け出した。
 隣に誰かがいてくれるなら、おれはその人のためになにかをしてあげたい。例えば今は朝ごはんだ。銀髪の彼は、強いが故に得られないものも多い。栄養バランスの整ったご飯とか。まあそんなのだけでなく、もちろん彼はいろんなものを得られず、失い、そして同じくらい得てきたはずだが。
 今日のご飯は何にしよう、あまり悩む時間もないのに、冷蔵庫とにらめっこした。
 そのとき、ふいに思い出す言葉。

あなたは一年持つか分かりません

 急に胸が痛くなって、病院に駆け込んだのは二ヶ月前。
 一年持つか分からないと、そう宣告されて、二ヶ月が経った。
 幸い、カカシさんはこのことを知らない。
 知られたら、全くどうなるか分かったもんじゃない。
 自惚れかも知れないけれど、おれがいなくなったら、彼はきっと、・・・なんて、それはおれの願望か。子供みたいにわんわん泣く、何も手につかなくなる、ずっとおれを忘れない、なーんて。
 本当を言えば、彼はなにも表には出さないんじゃないかと思う。いつもニコニコして優しい彼だって、一流の忍びだ。感情を表に出しすぎることの危険さなど、考える間もなく身に染みているだろうから。
 一日に何度も何度も、死の事実を思い出すのは、死に怯えているからではない。ただ、それだけが心配だからだ。
 畳の上で死ぬのが不可能に近い忍びが、今畳に一番近く存在できている。しかも、一日一日を大切に生きようと感じさせてくれるリミットつき。強がりかもしれないが、それなりに感謝している。
 けれど、カカシさんを一人置いていくことに不安を覚えている。
 だって、おれは心底カカシさんを好きだから。他の誰かと抱き合って、いつかは幸せな家庭を築いて・・・ようはおれのいない世界で生きていくカカシさんを、知りたくない。

「おはようございます」

 おれは、ずっと冷蔵庫とにらめっこしていたらしい。
 現実に引き戻されるその声に目覚めて時計を見てみれば、ゆうに30分は経っていた。
 しまった、朝ごはん全然できてない。

「おはようございます、あの」
「あ、朝ごはんですか?」
「すみません!なんかボーッとしちゃって」

 急いで作りますから、そう言うとカカシさんは笑った。

「今日は二人で作りましょ~」
「え?でも修行は・・・?」
「修行?・・・あぁ、あれは午後からなんで大丈夫です」

 おれが覗いた後も開けたままの冷蔵庫の中を、今度はカカシ先生が見る。
 サラダがつくれそうですね、カカシさんはいちいち振り向いて、おれに笑いかけた。



あなたは一年持つか分かりません

 
おれのいない世界を謳歌するカカシ先生がいやだったけれど、もういいです、それでも。
 おれのあと一年、いや、そんなにない命が、こうして笑顔を生み出せ、その笑顔がずっと続くのなら、おれは今頑張ります。
 カカシさんがずっと笑顔でいられるように、カカシさんがずっと、幸せであるように。

 明日はちゃんと起きて、カカシさんのために朝ごはんを作ろう
 明後日は夕飯を奮発して、秋刀魚と茄子で、染め上げよう
 そのあとは・・・そのあとは・・・
 ・・・そうして旅立つ前日には、おれはあなたの幸せを一生懸命祈ります。
 そしてありがとう、と

2006
09,17

 イルカ先生の部屋には何もない。
 おれの部屋も、よく殺風景とは言われるが、この部屋は殺風景を通り越している。
 でもおれは、この部屋が好きで、よくこの部屋でのんびりする。
 そんなときはいつも、イルカ先生は書類にテストの答案に、とにかく仕事に、格闘している。
 今日も、イルカ先生は赤ペンをもし、一定のペースで手を動かすんだ。

 今イルカ先生が向き合っている答案の持ち主は、どうやらペケが多いみたい。
 こんなこと言ってはなんだけど、おれはマルよりペケのほうが好きだ。
 単純に、イルカ先生の手の動きが好きだから、なんだけど。
 そんなこと考えながら、手に持ったイチャイチャパラダイスもそこそこに、イルカ先生の手をじーっと眺め続けた。

「あなた何してるんですか」

 唐突に降りかかる声。
 その声と同時に、ペンの動きは止まった。

「ああ、気にしないでください。手、動かしていいですよ」
「気になるんです、言ってください」

 イルカ先生はそう言って、ペンを投げ出した。
 理由を言わないと、もう動かしてくれそうにない。

「見てるんですよ」
「なにをですか?」
「動きを。おれはペケをつけるイルカ先生の手が好きですねぇ」

 笑いながらそう言うと、イルカ先生は呆れたように怒ったように言った。

「・・・構ってやらないこともありません」

 ビックリしてイルカ先生を見ると、耳を真っ赤にして、俯いていた。
 そこで気づいた。
 おれがイルカ先生の家に行くと、いつも仕事をしている理由。


 どうしていいか、分からなかったんだね
 二人きりでいる、この空間に戸惑って、話しかける、そのきっかけに悩んで。
 近い距離にいても、実は遠い距離にいたとか、今はどうでもいい。
 こうしてお互いが同じように悩んでいたことが、なぜか嬉しい。
 おれのために悩んでくれていたなら、もっと嬉しい。
 考えていたらおかしくなって、おれは思い切りイルカ先生を抱きしめた。

2006
09,06

 人殺しが嫌で里を抜けた、

 そういえば多少聞こえはいいが、実際のところは唯人が煩わしかっただけ。
 命令されて、命令して、怒って殴って殺して、
 あーもうどうでもいいや、って思ったときにはもう体は動いていた。
 それから山奥の小さな小屋で、サバイバル生活。
 幸い文明的な生活よりも、原始的な生活に慣れていたから、その生活に困ることはなかった。
 でも、何か足りない。

――――人だ

 里を抜けて、もう戻れなくなって気付いた。
 笑い合って、励まし合って、声を掛け合える人間は、本当は大切な存在だったのだ。
 そう思った矢先、人を忘れかけた殺伐とした生活の中に、一人の人間が転がり込んできた。



「はたけカカシさんですか?」

 殺気を発さない、まるで何も考えていないような人。
 それでも木の葉マークの額宛をしていたから、すぐに追い忍だと分かった。
 けれど、正直捕まろうが、拷問されようが、もうどうでもよかったから、素直に頷いた。

「そうですけど、なにか」
「一応追い忍なんですけどね、」

 モグモグと言い難そうに、口を動かした。

「・・・一緒に暮らしませんか?」

 そのたった一言に驚いたのは言うまでもない、開いた口が塞がらないとはこのことだ。
 どうせ里が仕向けたものだ、おれを更生しろとか何とか言って。
 本当に嫌なら殺しても構わなかった。
 けれどそこで再び頷いてしまったのは、人が恋しかったから。
 そしてどうしてか、動くたびにピョコピョコと揺れる、その黒髪が気になったからだ。
 いつ殺されるか分からない生活も、スリルがあって楽しそう。
 なにより、この部屋も少しだけ、人の匂いがするようになるかもしれない。温かさを取り戻せるかもしれない。
 会ってすぐなのにおれは、自分の一生をこの人に賭けてみよう、そう思った。


 それから、奇妙な同居生活が始まった。


                                         to be continue...

2006
08,31

«»

 鉛筆の持ちすぎで、手が痛くなった。
 そういえば最近は、忍具より鉛筆を、そんな忍びらしからぬ日々を送っている。
 木の葉が平和な証拠か、はたまたおれが平和な証拠か。
 どちらとも言わず、明らかに後者だ。

 噂では、ナルトは随分強くなったと聞く。
 サクラは綱手さまに弟子入りし、サスケはきっと今頃、自分を探しているだろう。
 どんな状況にあれ、みな自分の行くべき道を見つけ、それに向かって突き進んでいる。
 自分の背の半分もなかった子供たちが、木の葉を背負っていく。
 とても良いことなんだと思う。
 それでもどこか寂しさを感じるのは、おれの我儘なのだろうか。
 あの人だけは傍にいて欲しいと願うけれど、それも叶わぬ夢だと、心のどこかでは気づいている。

 だってあの人はもう、随分遠いところへ行ってしまったじゃないか

 みんなとともに歩みながら


「・・・よかったですね」


 誰もいない職員室に虚しいほど響いた声。
 まるで誰にも受け止めてもらえないおれみたいだなあと、少しだけ笑えた
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